あなたは「安楽死」を認めますか?




あなたは「安楽死」を認めますか?

そして、あなたの大切な人が「安楽死」を望んだら、、、

〜カナダでの新たな判決とその内容〜

「安楽死(医師ほう助による死のこと)」と耳にすると、隣国であるアメリカのオレゴン州をはじめとして、モンタナ、ワシントン、カリフォルニア、ニューメキシコ、バーモントなどの各州や、欧米諸国のオランダやスイス、ルクセンブルグ、ベルギーなどでの施行されているニュースを思い出される方が多いと思います。
ここカナダにおいても2015年に合法化に向けた動きが活発化し、2016年2月に最高裁にて条件付きとしながらもカナダの全国内において安楽死を合法とし、認める判決が下されています。

カナダの最高裁が「(自らの死)に同意した成人で、耐え難い肉体的あるいは精神的苦痛に苦しむ人が医師のほう助を得ることによって、自らの命を終わらせる権利」を認めたことになりました。これに対する、経済的な問題で、適切な治療を受けることができずに安楽死を選ばざるをえない患者の実態や対応策、医師側から見た良心の受け入れに関する問題や配慮、宗教的観点から見て人命をどんな理由であるとしても終わらせることへの反論などたくさんの深い問題は解決したわけではありません。

しかしカナダにおいては、「安楽死」の合法化に賛成だとする国民が、圧倒的な割合を占めています。詳しい調査会社の報告によりますと、バンクーバー在住の約1,000人に「判断力があって、命を絶つことに対して、明確な同意を望む成人から安楽死への要請があった時、そしてなおかつその人が、医学的に重篤で、回復不可能な状態にあり、それがその後も継続的、長期的に苦しみをもたらす場合、あなたは「医師のほう助による自殺」に賛成するか反対するか?」との問いに対して、79%もの回答者が 「安楽死」を「強力に、または、控えめに支持し、15%が反対を示し6%がわからない」と答えたそうです。他の州においてもこれらの問いに対する結果に大差は見られませんでした。賛成の割合はB.C.州で(90%)QC州(83%)、AB州(82%)など。
これらの新しい判決によって、これまでカナダ人の末期患者がスイスやアメリカの幾つかの州にような、外国人が合法的に安楽死が可能な地域に移住する「終末期医療・介護ショッピング(エンドオブライフケアショッピング)」の流れも変化するだろうと言われています。
これまでにも、実際に加齢に伴う背骨の老化などにより、腰椎の脊柱管を通る神経を圧迫し腰や下肢に痛みや痺れなどを生じる疾患で手術をしても完治しないことが多いと言われている脊柱管狭窄症を患い2010年にスイスにおける安楽死を選んだ86歳のキャサリン・カーターの遺族や病気の進行に伴い全身の筋肉及び呼吸筋が働なくなることで呼吸が不十分になり亡くなる可能性がある病気、筋委縮性側索硬化症(ASL)発症し闘病を続けていたグロリア・テイラーさん(64歳、2012年病死)の遺族が政府に対して提訴していた「カナダ対カーター」と呼ばれているケースもありました。
CBCNEWSによるとは、ケベック市において、末期患者が、カナダで最初の合法的な医師のほう助による安楽死  を選んだことを報じた。さらに、カナダの新聞社「The Globe and Mail社」も、社説で「最高裁の新しい判決を受け、早急に安楽死を認め法制化を進めるべきだ」、と連邦政府に投げかけたとされています。

最近では、末期患者など終末期にある患者が自らの意志で、医師の助けを借り、死期を早めることを、当初「医師ほう助による自殺」と呼ばれてきたことに異論を唱え始めています。

何よりも自殺という否定的な言葉の意味合いを除いて、「医師のほう助による死」という言葉がより多く使われるようになってきました。世界的に尊厳死(death with dignity)という言葉を好む人たちが多く、カナダや日本に全国組織があるそうです。日本においては、安楽死は苦痛から逃れる理由により延命治療を断り、死を選ぶこととされています。尊厳死は人の意志や尊厳を尊重した状態での死を意味するとされており、同じことを意味するものではないとされています。日本においては安楽死や尊厳死という言葉は認知されてきてはいますが、実際に認められる法律は未だに作られていません。ただ、現実的には本人や家族の意思を反映して医師による安楽死や尊厳死が認められる事例も少しずつ増えてきました。今後の流れに注視しましょう。